

ドキュメンタリー映画「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」を見ました。
エル・ブリとは、かつてスペインにあった、世界一のレストランです。
映画は、シーズンオフのエル・ブリがお店のあるカラ・モン ジョイからバルセロナにあるラボへ移動する場面から始まります。
エル・ブリはなんと1年間でたった6ヶ月しかお店をオープンさせず、それ以外の6ヶ月は新メニューの開発に当てられるのです。
その新メニュー開発(厳密に言うと食材のリサーチ)の様子に映画の多くの時間がさかれるのですが、サツマイモから水分を取り出したり、素材を真空パックしたり、その様子はまるで科学の実験のようです。
そして6ヶ月後、再び調理用具を車につめこんで、カラ・モン ジョイへ戻るのですが、その時点でまだ、そのシーズンのメニューは完成していないんですよ!ビックリです。
そして、お店に戻ってから怒濤のように30品以上のメニューが出来上がります。
その中で驚きだったのは、カリスマオーナーシェフ・フェランの「味はあとだ!」という言葉。料理の味があとまわしだなんて...!
「前衛レストランにお客が求めるものは、驚きだ。」なるほど〜。。
この映画、ナレーションも説明もまったくなく、かなり細かくカットをつなぎあわせているので、状況がわからない場面も多く、不親切といえば不親切なんですが、ずーっと我慢をして見続けると最後に、ある種のカタルシスが得られます。
さて、このエル・ブリ、映画では描かれていませんが、人気絶頂のまっただ中2011年で閉店してしまったのです。その理由が、フェランがより料理を探求するために、「料理研究財団」を運営するためだそうです。
こちらの記事によると、
「料理をレストランという形態ではなく、もっと幅広い方法で人々に伝えたいと、熟考の末に決断しました。
財団というと堅苦しいですが、料理を言葉で表現するシンクタンクとでも言ったらいいでしょうか。具体的な活動としては、まず今の『エル・ブリ』の建物を改造して新しい建物を造ります。そこでは料理人だけなく、さまざまな分野のクリエーターやアーティストが料理について研究を行い、その内容を世界にインターネットで配信するつもりです(フェラン)」
だそうです。
この映画を見て、フェランの飽くなき食への探求心に触れると、納得です!
「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」
監督:ゲレオン・ヴェツェル
製作国:ドイツ 2011年 113分